遺品整理の見積もりを4社でとったら、いちばん高い会社が198万円、いちばん安い会社が55万円でした。
同じ家の、同じ荷物です。
おひとりさまだった叔父が遺した築40年の一戸建てを片付けたときの、実際の金額と業者の選び方の記録です。
ひよりねぇしゅん、叔父さんの家の片付けの見積もり、4社に頼んだの覚えてる?



覚えてる。あれにはびっくりしたよ。



差額が100万円以上あったのよね。



相見積もり、大事だな。
遺品整理の見積もりは業者で3倍以上変わる
叔父が亡くなったのは2023年12月1日。
遺品整理の見積もりを4社に頼んだのは、翌2024年の1月でした。
築40年、4DKの一戸建て。
その4社が出してきた金額です。
| 見積額 | 作業日数・体制 | 見つけ方 | |
|---|---|---|---|
| A社 | 198万円 | 5日間・8名 | 司法書士事務所の紹介 |
| B社 | 120万円くらい | 2日間 | 一括見積もりサイト |
| C社 | 103.4万円 | 1日 | 一括見積もりサイト |
| D社 | 55万円 | 1〜2日 | 一括見積もりサイト |
※B社だけは現地を見てもらわず、電話と写真でうかがった概算です。
いちばん高いA社と、いちばん安いD社の差は143万円。
倍率にすると3.6倍です。
同じ家を、同じように片付けてもらうための金額で、これだけ開きました。
ゴミ屋敷になっていた叔父の家
叔父は80代のおひとりさまでした。
自宅で倒れているところを発見され、数日後に病院で亡くなりました。
遺されたのは築40年、4DKの一戸建てです。
足の踏み場がないという言葉が、そのままあてはまる状態でした。
動けるのは叔父の甥・姪にあたる私たちきょうだいと従兄弟たちで、遠方に住んでいる人もいました。
誰か一人に負担が集中する形は避けたい。
それが、最初に決まったことでした。
遺品整理は相見積もりをとったほうがいい
最初に見積もりをお願いしたA社は、相続の手続きでお世話になっていた司法書士事務所からの紹介でした。
2024年1月初旬に現地を見てもらい、出てきた金額が198万円です。


「5日間、8名がかり、2トントラック6台」という説明でした。
ただ、高いのか安いのかを判断する材料が手元にありません。
そこで、「ほかの会社にも見積もりをお願いしてみない?」と提案しました。
一括見積もりサイトから2社を選び、来てもらう日を1月中旬に決めました。
その日を待つあいだにみんなで話し合い、同じサイトで見つけたB社に私が電話をかけています。
間取りと荷物の多さを伝えるだけで、金額の目安を聞けないかと思ったからです。
B社の料金表に4DKという区分はなく、叔父の家は3LDKと同じ扱いになるとのことでした。
その通常料金が50万円から65万円ほど。
A社の198万円とは、ずいぶん開きがあります。
驚いて、その198万円という金額を口にすると、担当者にすぐこう言われました。
「それは高いですね」
ところが、A社の見積もりが5日間で8名だと伝えたとたん、返事が変わりました。
「それなら安いです。さきほど申し上げたのは1日の金額なので」
日数によって金額が変わるのだと納得しました。
そのあと、部屋の写真があれば見せてほしいと言われ、LINEで送りました。
返ってきたのは、2日間としても120万円くらい、150万円まではいかないだろう、という見立てです。
同じ198万円が、条件を伝える前と後で正反対の評価になりました。
金額だけをくらべても意味がないのだと、この電話でわかりました。



「高いですね」のあとに「それなら安いです」って驚いたわ。



真逆だもんな。
遺品整理の一括見積もりサイトで探した
その2社を選んだのが、一括見積もりサイトでした。
使ったのは「みんなの遺品整理」です。
自分たちで業者を探そうとしても、手がかりがありません。
検索すれば会社はいくらでも出てきますが、どこなら任せられるのかを見分ける材料がないのです。
「みんなの遺品整理」を運営しているのは株式会社LIFULL seniorで、遺品整理士認定協会、事件現場特殊清掃センターと共同でサービスを運営しています。
掲載されているのは加盟審査を通った業者だけです。
相談から業者の紹介までが無料で、相見積もりの手配もしてもらえます。
地域と間取りを入れて出てきた業者から、話し合って2社を選びました。
現地見積もりの申し込みは従兄弟がしてくれています。
そして1月中旬、その2社に同じ日に来てもらいました。
後日届いた見積もり金額は
- C社:103万4千円
- D社:55万円




最初にA社の198万円を見ていたので、D社の金額を見たときは思わず声が出ました。
作業は1日で終わった
実際に作業をしてもらったのは、2024年の春です。
お願いしたのはD社でした。
運び出した荷物は、2トントラック7台分。
車両そのものは2台で、朝から何度も往復していました。
それが1日で終わりました。
D社の見積もりは1日から2日。
見立てのとおりです。
同じ家を見て、1日で終わると読む会社と、5日かかると読む会社がある。
その違いが、そのまま143万円の差になっていました。
どちらかが嘘をついていたわけではないのだと思います。
何台の車で、何人が、何日かけるか。
その組み立てが、会社によってまるで違うということなのでしょう。
だからこそ、金額だけを見てくらべても答えが出ません。



トラックが何度も出たり入ったりしてたのよ。



暗くなる前に終わってよかったよな。
業者を決めた理由は価格
D社に決めた理由は価格です。
55万円と198万円では、迷いようがありませんでした。
見積もりのときには、遺品整理士の資格を持っていることや、仏壇などを供養してもらえることの説明もありました。
そう聞いて安心はしましたが、それを基準に選んだわけではありません。
安さへの不安もありませんでした。
驚きはありましたが、4社に問い合わせるうちに、料金の決め方には本当にさまざまな基準があるとわかったからです。
あとで調べてみると、4DKでゴミ屋敷に近い状態の片付けは、25万円から75万円ほどが目安とされていました。
55万円は、その範囲のなかにあります。
強いて挙げれば、担当の方が電話でも現地でも穏やかだったこと。
見積書を送ってくれたメールの文章も、こちらにわかるように書かれていたこと。
決めるときに、その印象は少しだけ働いた気がします。
こちらの希望を伝えて、それには応えられるという返事でしたので、お願いすることにしました。
作業範囲は書面で確かめる
見積もりをお願いするとき、こちらから先に質問を送っておきました。
その返事が、見積書が添えられたメールに書かれていました。
【追加料金に関して】
発生致しませんのでご安心ください。
(万が一お荷物量が増える場合にはご相談ください)【作業日程に関して】
基本、1日で考えております。予備日としてもう1日いただければ幸いです。
作業は9時から19時で考えておりますが多少前後致します事、ご容赦いただきたく思います。
可能でしたら別日に、お立会い無しで外回りのみ作業をお願い致しております。【1F部分に関して】
重要書類のご捜索の為、特に重点的に確認させていただく事を考えております。
ただし本の間や封筒を開けて精査する迄の作業は難しいとお考えください。
どこまでやってもらえて、どこからはやってもらえないのか。
私たちはそれを知っておきたかったので、メールを見て安心してお願いしようと決めました。
言った言わないを避けるためにもテキストに残すことは大切だと思います。
遺品整理業者に必要な許可は2種類
遺品を廃棄物として運び出すには、市町村の「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。
市町村から委託を受けている業者も同じ扱いになります。
遺品を買い取るには、「古物商」の許可が必要です。
片付けだけをたのむなら前者、買取もお願いするなら両方が関わってきます。
許可を持たずに料金を取って廃棄物を引き取ると、無許可営業にあたります。
廃棄物処理法では、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金と定められています。
ただ、この許可は新しく取るのがとても難しく、自社で持っている遺品整理業者は全国でもごくわずかです。
許可を持つ業者と提携して運んでもらう形も、きちんとした進め方のひとつです。
自社で持っていないから怪しい、ということではありません。
気をつけたいのは、許可も提携もないまま回収している業者のほうです。
国民生活センターには、不用品回収をめぐる相談が2021年度だけで2,000件を超えて寄せられています。
無料をうたって巡回し、荷物を積み込んだあとで高い料金を求められる。
引き取られた物が不法投棄され、あとから元の持ち主に撤去費用を請求される。
そうした例が紹介されています。
国民生活センターは、たのむときの心がけとして次の3つを挙げています。
・市区町村のホームページや窓口で、許可を受けた業者を調べる
・複数の業者から見積もりを取る
・追加料金がかからないことを確かめる
2つめと3つめは、まさに私たちがやったことでした。
自分の始末は自分でつけたい
叔父の家を片付けて残ったのは、金額の記憶だけではありませんでした。
あの家にあったものは、叔父が選んで、買って、置いた物です。
それを、叔父を知らない人たちが袋に詰めて運び出しました。
たった1日で空になりました。
叔父だって、こんなふうに甥や姪にすべてを知られたくはなかったでしょう。
誰だって、自分が亡くなったあとの始末で誰かを煩わせたくないはずです。
私だってそうです。
なるべく自分で始末をつける。
使っていない物は使う。
不要な物も、誰かに処分されてしまうくらいなら自分で処分する。
そうやって、少しずつ生前整理をしていこうと思いました。



私が急にいなくなったら、きっとみんな捨てられちゃうのよね。



それは俺も考えた。



だから、今から自分で…なのよね。



焦らず、放置せず…だな。
叔父のお話は、墓じまい編と相続編、当日の記録もあわせてどうぞ。





