合祀墓の話を聞きに姉弟で行ったら、また夫婦と間違われた話

ひより

ねぇしゅん、あの合祀墓、ほんとに気持ちのいい場所だったね。

しゅん

そうだね、いい感じだった。

ひより

でもまだ申込書は書いてない…

しゅん

あ〜、俺もだよ。

「両親が眠る霊園に、合祀墓が新しくできた」。
お墓のないおひとりさまの私たちにとって、それはちょっと気になる知らせでした。
6月のある晴れた日、姉弟ふたりで、その合祀墓の説明を聞きに行ってきました。
申し込みをしてきた、わけではありません。
申込書はもらってきたけれど、まだ書いてはいない…そんな、等身大の終活の記録です。

目次

「両親のそばで眠る」という選択肢

私たち姉弟には、入るお墓がありません。
くわしくはプロローグに書きましたが、私と弟が入る場所は、いまのところどこにもないのです。

そんな私たちにとって、「両親の眠る霊園に、合祀墓ができた」という話は、思いがけないものでした。
「両親のそばで眠る」という、簡単なようで遠いところにあった選択肢。
今までそのために行動しようとは思ってもいなかったのです。

この合祀墓のことを最初に知ったのは、今年の3月でした。
父の命日のお墓参りに弟と出かけた帰り、この霊園では永代供養のお墓はあるのかな?と思い、霊園の事務所に立ち寄ってみたのです。

すると、ちょうど合祀墓ができたばかりで、価格もまだ決まっていない、とのこと。
その日に合祀墓と永代供養墓を見学させてもらい、後日何度か問い合わせ、価格が決まった時点でパンフレットを送っていただきました。
それらにじっくり目を通したうえで、もう少し詳しく話を聞きたくなって、今回あらためて出向いたというわけです。

しゅん

3月にさ、俺、もうここでいいかなって、ちょっと思ったんだよな。

ひより

うん、私も「アリ」だと思った。

6月のある晴れた日、霊園へ

その日は、よく晴れていました。
弟の運転する車で、両親の眠る霊園へ。

ここはいつ来ても気持ちのいい場所です。
きれいに整えられていて、とても静か。
その日は参拝の方を見かけませんでしたが、作業をされている業者の方が「こんにちは〜」と明るく声をかけてくださって思わず笑顔に。

入口すぐの霊園事務所に入り、合祀墓の話が聞きたいと簡単に経緯を話すと、「どうぞ」と穏やかに優しく迎えてくださいました。

やっぱり、また夫婦に間違われた

案内された席につくと開口一番、私が「あの、私たち、夫婦ではなくてきょうだいなんです。」
それを聞いた担当の女性は、ちょっと驚きながら「そうでしたか〜。いままさに、こちらのお二人様用のお墓をおすすめしようと思っていたんですよ。」と笑いました。
(あ〜、やっぱり。)心の中でそうつぶやいて、私もしゅんも、つい笑ってしまいました。

実はこの霊園で、私たちが「夫婦」と間違われるのは、はじめてではありません。
前回来たときも、同じ会話をしてその場で笑いが起きたのです。
こうして、きょうだいで話を聞きに来るのは、めずらしいのだそう。

ひとしきり笑ったあとで、しゅんが胸を指さしながら言いました。
「いっそ、バッジでもつけてくるか〜。姉!弟!って。」
その場にいた全員でまた大笑い、楽しいひとときでした。

枯れた花が、教えてくれたこと

説明のなかで、ひとつ、印象に残った話がありました。
合祀墓のまわりには、お花が植えられているのですが、最初に植えたものが、少し枯れてしまったのだそうです。
どんな花なら根づくのか、季節ごとにどんな花がいいか、担当の方はいま試行錯誤しているところなのだと教えてくれました。

その時、お墓って、「建てたら終わり」でも「納めたら終わり」でもないんだな、と感じました。
合祀墓であっても、こうして誰かに手入れされ続けていく。
そう思ったら、この場所で眠るのもいいんじゃないかと思えました。

申込書はもらったけど、まだ書いていない

説明を聞いて、申込書ももらってきました。
書く欄は、そんなに多くありません。
申込者、使用者、それから「縁者連絡先」という欄。
これは自分が亡くなった時にこの霊園に連絡を入れる人です。
本籍地の載った住民票を添えて申し込み、代金は振り込みでもいいそうです。
郵送でも申し込めるように返信用の封筒までご用意くださいました。

それなのに、私はまだ一文字も書いていません。
別の候補と迷っているわけではないのです。
「ここでいいかな」とは思っている。
でも、「よし、ここにする!」という気持ちには、なぜだか、まだなれなくて…。
できれば「よし!」という思いとともに申し込みたいのでちょっと保留。
いまはそのくらいで、ちょうどいいのかもしれません。

終活って、なんでもかんでも「よし!」と決めきらなくちゃいけない。
なんとなくそう思っていたけど、そんなことないのかも。
気になったから話を聞きに行って申込書を一枚もらってくる。
それだって、立派な前進!
そう思えるようになったのは、私にとって、ちょっとした発見でした。

おわりに 〜焦らず、放置せず

その日の帰り、私の家で、遅いお昼を食べました。
私がバイト先で買ってきたパンを、あれこれ並べて、アイスコーヒーを淹れて。
食べながら、しゅんがふと、こんなことを言いました。

しゅん

俺さ、献体も気になってるんだよね。

ひより

あ〜、前にも言ってたね。

しゅん

うん…でもまだ、踏み切れないんだよな。

ひより

申し込み用紙、取り寄せてみれば?

合祀墓のことも、献体のことも、まだ何ひとつ「決定」はしていません。
申込書だって、まだ白いまま。
でも、それでもいいと思うのです。
ちゃんと考えて、行動して、ひとつずつ近づいている。
その経過も大切にしたいと思っています。

ひより

ここに決めちゃいたい気もするけど…。

しゅん

姉がいいなら決めていいと思うよ?

ひより

でも、まぁ焦ることもないかな〜って。

しゅん

そうだね、放置しなければ…ね。

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この記事を書いた人

60代おひとりさま。10年前に夫と死別。お墓のないおひとりさまの私が弟と一緒に本気の終活はじめました。6匹の猫と暮らしています。

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