自筆証書遺言の書き方と費用。法務局に預ける手続きまで

遺言書は、紙とペンがあれば自分で書けます。 費用もほとんどかかりません。

ただ、決まりが細かく決まっていて、 そのうちの1つを外すだけで無効になります。

自分で書くなら何をどう書けばいいのか。 書いたものはどこに置いておけばいいのか。 法務局が預かってくれる制度もあわせて、 60代おひとりさまの目線で調べてみました。

ひより

遺言書って、自分で書くと0円なんですって。

しゅん

へえ、じゃあ今日書けば?

ひより

ま、そう簡単にはいかないのよね〜 

しゅん

だろうね〜

目次

自筆証書遺言は自分で書く遺言書

遺言書には、大きく分けて2つの作り方があります。 ひとつは公証役場で公証人に作ってもらう公正証書遺言。 もうひとつが、自分の手で全部書く自筆証書遺言です。

自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があれば作れます。 誰かに立ち会ってもらう必要もありません。

そのかわり、決まりを守れているかどうかを、誰も見てくれません。 公正証書遺言なら公証人が法律に沿って作ってくれますが、 自筆証書遺言は自分で確かめるしかありません。

もうひとつ、自筆証書遺言には公正証書遺言にない分かれ道があります。 書いたあとに、どこへ置いておくかです。

自宅で保管するか法務局に預けるか

自分で書いた遺言書は、これまで自宅の引き出しや金庫にしまっておくものでした。 2020年7月10日から、法務局が原本を預かってくれる制度が始まっています。 自筆証書遺言書保管制度といいます。

どちらにするかで、亡くなったあとに起きることが変わります。

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保管場所自宅など法務局
預けるときの費用0円3,900円
形式のチェック本人のみ法務局
紛失・無断修正の可能性ありなし
亡くなったあとの検認必要不要
相続人への通知なし申し出ておけば3人まで

法務局が見てくれるのは、形式が民法の決まりに合っているかどうかだけです。 全文が手書きか、日付と氏名と押印がそろっているか、 用紙の大きさや余白が決まりどおりか。そこまでです。

書いてある内容は見ません。 誰に何を遺すと書いたか、そのとおりに実現できる内容か、 あとで読み方が分かれない書き方になっているか。 そういったことは確認されませんし、法務省は 「遺言の内容について相談に応じることはできません」 「本制度は、保管された遺言書の有効性を保証するものではありません」 とはっきり書いています。

預かってもらえた、イコール、有効な遺言書ができた、ではありません。

検認というのは、亡くなったあとに遺言書を家庭裁判所へ持っていく手続きです。 何枚あるか、訂正した跡はあるか、日付と署名はどうなっているか。 その日の遺言書がどんな状態だったかを家庭裁判所に記録してもらって、 あとから書き換えられることを防ぎます。 検認を申し立てると、そのあと相続人全員に、家庭裁判所から検認の日の連絡がいきます。

検認は、遺言書が本物かどうかを判断する手続きではありません。 法務局に預けておけば、これがいりません。

遺言書を偽造すると、相続人ではなくなります

本物かどうかを判断しないなら、誰かが書いたものを持ち込めてしまうのでは、 と思われるかもしれません。そのための決まりが民法にあります。

相続に関する遺言書を偽造したり、変造したり、破棄したり、隠したりした人は、 相続人から除かれます(民法891条5号)。 遺留分を請求する権利も、遺言で財産を受け取る資格も失います。

検認の日は相続人全員に通知されるので、 心当たりのない遺言書が出てきたら、その場で言えます。 そして法務局に預けてあれば、原本と画像データが法務局に残ります。

通知は、法務局に預けた人だけが使える仕組みです。 預けるときに申し出ておくと、知らせる相手を3人まで指定できます。 自宅にしまっておいた場合は、知らせる仕組みそのものがありません。

自筆証書遺言の4つの条件

自筆証書遺言の決まりは、民法968条1項にあります。 条文はこの一文です。

遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない

短い一文ですが、条件が4つ入っています。 このうち1つでも欠けると、その遺言書は無効になります。

① 全文を自分の手で書く

パソコンで打ったもの、誰かに代筆してもらったもの、録音や動画は認められません。 自書というのは、自分の手で書くという意味です。 民法は用紙を決めていないので、便箋でもコピー用紙でも構いません。 筆記具の決まりもありません。 ただ、鉛筆のように消せるもので書くと、あとから書き換えられるおそれがあります。 法務局も「消えるインク等は使用せず、ボールペンや万年筆などの 消えにくい筆記具を使用してください」としています。

② 日付を書く

何年何月何日まで書きます。 「令和8年9月吉日」のような書き方は無効です。 最高裁が昭和54年5月31日の判決で、「昭和四拾壱年七月吉日」という日付について、 暦の上の特定の日を表していないとして、日付の記載を欠くと判断しています。

日付が要るのは、遺言書が2通以上出てきたときに、 どちらが新しいかで決まるからです。 民法1023条1項に、前の遺言と後の遺言が食い違うときは、 食い違う部分について後の遺言が優先すると書かれています。 日付がなければ、どちらが後なのか分かりません。

③ 氏名を書く

戸籍のとおりの氏名を書きます。 自分の手で書く署名です。印刷やゴム印ではいけません。 法務局は、ペンネームなど公的な資料で確認できない氏名の遺言書は預かりません。

④ 印を押す

実印でなくても構いません。認印で足ります。 法務局も「押印は、認印でも問題ありませんが、スタンプ印は避けてください」としています。 スタンプ印というのは、朱肉を使わないタイプのはんこのことです。

財産目録だけはパソコンでつくれる

全文を手書き、という決まりには例外が1つあります。財産目録です。

財産目録というのは、遺言書に添える財産の一覧です。 どの不動産のことか、どの口座のことかを特定するために付けます。 2019年1月13日から、この目録だけはパソコンで作ってよいことになりました。 民法968条2項です。

パソコンで打ってもいいですし、 不動産の登記事項証明書のコピーや、通帳のコピーをそのまま添えても構いません。

ただし条件があります。条文はこうです。

遺言者は、その目録の毎葉に署名し、印を押さなければならない

毎葉というのは、1枚ずつという意味です。 目録が3枚あれば3枚とも、署名して印を押します。 1枚でも抜けると、その目録は効力を持ちません。

書き間違えたときの直し方

書き間違えたときの直し方も、民法で決まっています。968条3項です。

自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない

やることは4つです。

  1. 訂正した場所を指示する
  2. 変更した旨を付記する
  3. その付記に署名する
  4. 変更した場所に印を押す

法務局の説明はもう少し短く、 「訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印します」 となっています。

4つのうち1つでも欠けると、その訂正は効きません。 遺言書全体が無効になるわけではなく、直す前の状態のまま残ります。

正直なところ、書き間違えたら最初から書き直すほうが早いです。 新しく書いても費用はかかりません。 書き直したら、古いほうは処分しておきます。

条件を満たしても遺言どおりにならないことがある

4つの条件をそろえて、法務局に預けたとしても、それで安心とはいきません。 次のようなことは、預ける段階では止めてもらえません。

遺す相手が先に亡くなっていた

民法994条1項に「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」 とあります。受遺者というのは、遺言で財産を受け取る人のことです。 その人に遺すと書いた部分が、空振りになります。

財産の書き方が曖昧で、どれのことか分からない

「自宅を遺す」とだけ書いて土地と建物の表示がない、口座を書いたが番号がない。 無効になるというより、名義の変更ができません。 財産目録を付けるのは、これを防ぐためです。

書いたときに判断力がなかった

民法963条に「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。」 とあります。 法務局は本人確認はしますが、判断力があるかどうかまでは判定しません。 亡くなったあとに争われて、無効とされることがあります。

あとから別の遺言書を書いた

民法1023条1項で、前の遺言と後の遺言が食い違うときは、 食い違う部分について後の遺言が優先します。 法務局に預けてあっても、あとから自宅で書いた日付の新しい遺言書のほうが優先します。 預けたから動かせない、ということではありません。

ひより

書き間違えたら、直し方まで決まってるの。

しゅん

大変だな。

ひより

書き直したほうが早い気がする。

しゅん

決まりの意味…

自筆証書遺言にかかる費用

自筆証書遺言は、書くだけならお金がかかりません。 紙とペンと印鑑があれば、それで足ります。

かかるのは、法務局に預ける場合です。 保管の申請は1件につき3,900円で、収入印紙で納めます。 このほかに、申請のときに提出する住民票の写しの発行手数料が別にかかります。 こちらは自治体によって金額が違います。

3,900円は、預けるときの1回だけです。 何年預けていても、追加でお金はかかりません。 法務省の案内によると、原本は遺言者が亡くなった日から50年、 画像データは150年保管されます。

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手続き手数料
遺言書の保管の申請1件につき3,900円
保管の申請の撤回無料
変更の届出無料
遺言書の閲覧(モニター)1回につき1,400円
遺言書の閲覧(原本)1回につき1,700円

撤回は預けたものを返してもらう手続き、 変更の届出は住所などが変わったときの手続きです。 法務省は「遺言書の保管の申請の撤回及び変更の届出については手数料はかかりません。」 としています。

閲覧は、預けた遺言書を見せてもらう手続きです。生きている間は本人だけができます。

3,900円は1件につきかかるので、別の遺言書を追加で預けるならもう一度3,900円です。 すでに預けたものはそのままにして、追加で預けることもできます。 あとから財産が増えて、その分だけ書き足したいときなどです。

ただ、内容を変えたいだけなら、追加ではなく預け直すほうが分かりやすくなります。 遺言書が2通あると、どちらが生きているのかを相続人が読み解くことになるからです。 法務局も、内容を変えるときは前のものを撤回して預け直すことを勧めています。 なお2通目以降を預けられるのは、1通目を預けた法務局だけです。

亡くなったあとにかかる費用

費用は、亡くなったあとにもかかります。 そしてここは、自宅に置いておいた場合と法務局に預けてあった場合で、 手続きそのものが変わります。

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自宅などで保管法務局に預けている
必要な手続き家庭裁判所の検認遺言書情報証明書の交付請求
手数料遺言書1通につき800円1通につき1,400円
そのほかの費用連絡用の郵便切手/検認済証明書150円なし
必要な戸籍出生から死亡までの全戸籍と相続人全員の戸籍出生から死亡までの全戸籍と相続人全員の戸籍

自宅などに置いてあった遺言書は、家庭裁判所の検認を受けます。 申立ての手数料は遺言書1通につき収入印紙800円です。 これに連絡用の郵便切手を添えます。 家庭裁判所が相続人に検認の日を知らせるときなどに使う郵便代を、 申立てのときにあらかじめ切手で納める形です。 いくら分になるかは裁判所ごとに違います。 検認が終わったら検認済証明書をもらいます。こちらが150円です。

法務局に預けてあった場合は、検認はいりません。 そのかわり、遺言書情報証明書という書類の交付を受けます。 不動産の名義を変えるときや、口座の手続きをするときに使う書類です。 1通1,400円で、全国どこの法務局でも請求できます。

金額だけを見れば、どちらも大きな額ではありません。 必要な戸籍は、検認でも遺言書情報証明書でも変わりません。 戸籍は1通450円、除籍と改製原戸籍は1通750円です。 何通必要になるかは、その人が生まれてから亡くなるまでに 本籍をいくつ移したかで変わります。

法務局に預けるまでの流れ

法務局に預ける手続きは、遺言書が書き上がってから始まります。 下書きの段階では申請できません。

1. 遺言書を書く 法務局に預ける場合は、用紙にも決まりがあります。

2. 預ける法務局を決める 遺言者の住所地、本籍地、所有する不動産の所在地。 このいずれかを管轄する遺言書保管所の中から選びます。 2通目以降は、1通目を預けた法務局にしか申請できません。

3. 保管申請書を用意する 法務省のホームページからダウンロードできます。 最寄りの法務局の窓口でももらえます。

4. 住民票の写しを取る 本籍と戸籍の筆頭者の記載が入っていて、 マイナンバーと住民票コードの記載がないものです。原本を提出します。 本籍は入れる、マイナンバーは入れない。 この2つを間違えると出し直しになります。 手続きの前に新しく取っておきましょう。

5. 予約する

  • 法務局手続案内予約サービスという専用のホームページ
  • 預ける法務局への電話
  • 預ける法務局の窓口

の3つから選べます。 ホームページなら24時間いつでも取れます。 電話と窓口は平日の9時から17時までです。 予約は、手続きをする本人が取ります。

6. 予約した日に本人が行く 「遺言書の保管の申請ができるのは、遺言者本人のみです。 代理人による申請や郵送による申請はできません。」とはっきり書かれています。 体調が悪いから誰かに頼む、ということができません。

7. 保管証を受け取る その場で法務局が形式を確認し、問題がなければ収入印紙で3,900円を納めます。 このとき、亡くなったあとに知らせてほしい相手も申し出ておきます。

遺言書さえ書き上がっていれば、法務局での手続きはその日のうちに終わります。

保管証には、遺言者の氏名、出生年月日、預けた法務局の名称、保管番号が書かれています。 保管番号は、あとで手続きをするときに使う番号です。 保管証は再発行されないので大切に保管してください。

用紙の決まり

法務局に預ける遺言書には、民法の決まりとは別に、用紙の決まりがあります。 スキャナで読み取って画像データにするためです。

  • A4サイズ
  • 片面のみに書く
  • 余白を、上5ミリ、下10ミリ、左20ミリ、右5ミリ以上あける
  • 複数枚あるときは各ページにページ番号を書く(1/2、2/2のように)
  • ページ番号は余白の中に書く
  • ホチキスなどでとじない
  • 封筒はいらない
  • 消えにくい筆記具で書く

余白は、この幅より広いぶんには構いません。 1枚だけならページ番号はいりません。

法務省は「スキャナで遺言書を読み取るため、 全てのページをバラバラのまま提出いただきます」としています。封をする必要もありません。

決まりを外すと、その場で預かってもらえません。 法務省が預かれないものとして挙げているのは、次の5つです。

  • 民法の要件を満たしていない遺言書
  • 余白が確保されていない遺言書
  • 余白にはみ出した文字がある遺言書
  • 両面に記載された遺言書
  • ペンネーム等の公的資料で確認できない氏名の遺言書

法務省が余白の入った用紙の例をPDFで配っていて、 「この用紙例を印刷して御利用いただくことが可能です。」としています。 これを印刷して使えば、自分で測らずにすみます。 余白には、ページ番号のほかは何も書きません。

行く前に書類を見てもらえる法務局があります

余白が足りなかった、というだけで、予約を取り直すことになります。 そうならないように、書類の写しをメールで送って、 先に形式を見てもらえる法務局が増えています。 まだ試行の段階なので、できる法務局とできない法務局があります。 予約を取るときに、自分の行く法務局で使えるかどうかを聞いてみるとよいと思います。

当日持っていくもの

  • 遺言書(ホチキス止めなし、封筒不要)
  • 保管申請書
  • 住民票の写し
  • 顔写真付きの身分証明書
  • 手数料3,900円分の収入印紙

身分証明書は「顔写真付きの官公署から発行された身分証明書」です。 法務局はマイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、旅券などを挙げています。 有効期限のあるものは、期限内でなければいけません。 健康保険証のように顔写真のないものでは手続きができません。

ひより

余白が足りないだけで、返されるらしいわ。 

しゅん

えー、また予約取り直し?

ひより

そうならないように確認しないとね。

しゅん

確認、大事だな。

預けておくと相続人に通知が届く

法務局に預けると、亡くなったあとに知らせが届く仕組みが2つ使えます。

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指定者通知関係遺言書保管通知
届くとき法務局が死亡を確認したとき相続人等の誰かが証明書をもらうか閲覧したとき
届く相手指定した3人まで手続きをした人以外の相続人等全員
申し出預けるときに必要不要

指定者通知

預けるときに申し出た場合だけ通知がきます。 知らせる相手は3人まで。あとから変更でき、届出は無料です。

法務局が死亡を知る仕組みは、こうです。

STEP
遺言者が亡くなる

STEP
届出を受けた市区町村が、戸籍に死亡を記載する

STEP
法務局が、遺言者の死亡を確認する

法務局は戸籍を扱う部署とつながっているので、 相続人が法務局へ知らせにいく必要はありません。 法務省の言い方では 「戸籍担当部局と連携して遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合」となっています。

STEP
指定された3人までに、法務局から知らせが届く

指定する相手は、関係相続人等の中から選びます。 「遺言者の推定相続人並びに遺言書に記載した受遺者等及び遺言執行者等」を指します。 推定相続人は今の時点で相続人になる立場の人。 遺言執行者は遺言のとおりに手続きを進める役で、遺言書の中で指定できます。 この中から選べば、知らせを受けたあと、そのまま手続きに進めます。

関係遺言書保管通知

申し出はいりません。預けてあれば自動で通知がきます。

STEP
相続人等のうちの誰か1人が、遺言書情報証明書を受け取るか閲覧する

STEP
法務局が、それ以外の全員に知らせる 

法務省は「その方以外の全ての相続人等に対して、関係する遺言書を保管している旨を通知します。」としています

指定者通知を申し出なかった場合は、法務局のほうから知らせが届くことはありません。 それでも、預けてあること自体は相続人が自分で調べられます。 調べたうえで証明書を受け取るか閲覧すれば、 そこではじめて、ほかの相続人等に知らせが届きます。

自宅に置いた遺言書には、この2つのどちらもありません。 見つかるかどうかは、探す人しだいになります。

おひとりさまが自筆を選ぶなら

自筆証書遺言には、おひとりさまに向いているところがあります。 証人がいらないことです。

公正証書遺言を作るには、証人が2人必要です。 しかも誰でもよいわけではなく、財産を受け取る人やその家族はなれません。 頼める相手を2人見つけるところで止まってしまうことがあります。 公正証書遺言の費用と手続き、証人の探し方は、別のお話にまとめてあります。

自筆なら、誰にも立ち会ってもらわずに、その日のうちに書けます。 費用もかかりません。気が変わったら書き直せます。

そのかわり、正しく書けているかどうかを確かめるのは自分です。 日付が「吉日」なら無効になり、訂正の書き方を1つ外せばその訂正は効きません。 法務局に預けても、見てもらえるのは形式だけです。

それから、書いたものを見つけてもらえるかどうかという問題が残ります。 自筆を選ぶなら、書いて終わりにせず、 どうしたら見つけてもらえるかまで考えておく必要がありそうです。

どこに置けば見つけてもらえるのかは、自筆と公正証書を並べてくらべたお話にまとめています。

2026年の改正で押印と法務局の手続きが変わる

2026年6月17日に、民法などを改正する法律が成立しました。 令和8年法律第45号といいます。6月24日に公布されましたが、まだ施行されていません。 つまり、今の時点では今までどおりです。

自筆証書遺言に関わるのは、押印の扱いです。 公布から1年以内に、押印が任意になります。

任意になる=押さなくてもよくなる。 押してはいけないということではありませんし、 今ある遺言書の押印が無効になるわけでもありません。
訂正するときに押していた印も、同じように任意になります。

もう1つ、保管証書遺言という新しい形が作られます。公布から3年以内の施行です。
パソコンなどで作った遺言のデータか、それを印刷したものを法務局に提供して、本人が遺言の全文を口述します。法務局へ行ってもいいですし、ウェブ会議でもかまいません。
こちらも検認は要りません。細かい手続きは、これから決まります。

今ある保管制度も、同じ3年以内に変わります。
オンラインでの保管の申請と、証明書の交付請求ができるようになります。
また、今は予約を取って本人が行くしかありませんが、ウェブ会議でもできるようになります。

押印は1年以内、法務局のことは3年以内。
どちらも施行の日は、まだ決まっていません。

まとめ

自筆証書遺言は、民法968条1項の4つの条件でできています。

① 全文を自分で書く ② 日付を書く ③ 氏名を書く ④ 印を押す

財産目録だけはパソコンで作れますが、1枚ずつ署名して印を押します。

書いたものは、自宅に置いておくか、法務局に預けるかを選びます。 法務局に預けると3,900円かかりますが、検認がいらなくなり、 紛失や書き換えの心配もなくなります。 申し出ておけば、亡くなったあとに知らせが届く仕組みも使えます。

預けるときは、予約を取って本人が行きます。 用紙はA4で片面、余白をあけて、とじずに持っていきます。

2026年に成立した改正で、押印はいずれ任意になります。 ただし施行日はまだ決まっていません。

自筆証書遺言のつくり方を調べて、わかったことをお伝えしました。

ひより

結局、預けたほうが安心な気がしてきたわ。 

しゅん

書いただけで満足しそうだよな。

ひより

家の中にあって誰も気づかなかったら…

しゅん

まあ、それが一番もったいないか。

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この記事を書いた人

60代おひとりさま。10年前に夫と死別。お墓のないおひとりさまの私が弟と一緒に本気の終活はじめました。6匹の猫と暮らしています。

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